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2008年10月17日 (金)

ベビーボトルのビスフェノールA(BPA)は乳児期の発達に悪影響があるだろう

最近、ビスフェノールAを話題にしてなかったな。9月に興味深い報告がされて、日本でも話題になっていたけど、ここでは取り上げなかった。いつの間にかタイミングを逸して話せなかったからだ。

というわけで、10/14のAHNのニュースを紹介しよう。

ベビーボトルのビスフェノールA(BPA)は乳児期の発達に悪影響があるだろう
BPA In Baby Bottles May Harm Infant Development

ニュー・ヘブン - 中国で4人の子供が亡くなり何千もの子供達が体調を崩したメラニン・ミルクの恐怖の後に、米国の3つの州では、ベビーボトルの製造会社に対して、製品にBPAの使用を止める要求をした。

コネチカット州、ニュー・ジャージーとデラウエアでは、11のベビーボトル工場と薬品メーカーにBPAの使用を止める依頼書を送付した。

エール大学医学部の研究によって、製造工程で発生する量で乳幼児の神経、免疫システムに悪影響を与える可能性が示されている。

それに加え、年長の子供達や大人の健康にも関わりが示唆される。思春期の早期の始まり、乳癌の発生率、前立腺癌の発生率、肥満や糖尿病も含まれる。

さて、このニュースの中で言及しているエール大学医学部の研究っていうのが、実は、9月の頭にニュースになった話題だ。このニュースの話題は、もう既に色々なところで取り扱われているので、ググって出てきたリンクを紹介しよう。

ビスフェノールA」脳の神経組織に悪影響…サルで証明=(米)エール大学

ビスフェノールA

子どもの脳に悪影響か ビスフェノールAで米報告

ビスフェノールA」脳の神経組織に悪影響…サルで証明

きりがないので、この辺りで止めておこう。すべてのリンクに共通しているのは読売新聞の受け売りだ。これじゃ面白くないよね。もう少し突っ込んで勉強してみよう。じゃあ何を見ればいいか分かるよね。文献に当たろう。


ビスフェノールA(BPA)は、卵巣摘出した人間じゃない霊長類の海馬と前頭前野のエストラジオールの反応性シナプス形成を抑制する。
Bishpenol A prevents the synaptogenic response to estradiol in hippocampus and prefrontal cortex of ovariectomized nonhuman primates

要約

数カ国から報告されている暴露測定から考えると、ポリカーボネート・プラスチック製品に使用されている人工の外因性エストロゲン、ビスフェノールAに低レベルで持続的に人は暴露されていると言える。BPAにより多くの生体器管の発達が妨げられ、認識能や情緒に影響を与えるという研究を基に、この低レベルの暴露が環境リスクになりえるかどうか相当量の議論がされている。これらの報告に一致している見解は、性腺を切除された雌と雄のラットにおける大脳辺縁系でエストロゲンやテストステロンによって誘導されるスパインのシナプス形成は抑制されるってことだ。これらの研究には重大な制限、というは、この研究では齧歯動物をモデルに使っていて、人間のBPA暴露の影響を見ているものじゃないかもしれないからだ。この問題に対処するために、我々は、米国の環境保護庁(EPA)が現在規定している安全量のBPAを持続的に使って、人間じゃない霊長類モデルの海馬と前頭前野におけるエストラジオール誘導性シナプス形成にどのような影響を与えるか調べた。我々のデータによれば、このような比較的低レベルの暴露であっても、BPAは完全にエストラジオール誘導性シナプス形成を停止させた。スパインのシナプスのリモデリングが認識や情緒形成に重要な役割をしていると考えられているから、BPAには、スパインのシナプス形成妨げに深い関わりがあるだろう。この研究は人間以外の霊長類の脳に対してBPAが悪影響を与える初めての報告になるし、BPAは、広く医療機器から、食品の製造や保存にまで使われているので、更に心配事は広がる。

ますます一般の人にはなんお事がさっぱり分からないかも。こう考えると読売新聞の記者は優秀だね。いつもの通り、詳しい内容がわからないからいつものごとく文献だけは請求しておく。

さて、ビスフェノールの話題はLife-LOGでもしているので関連記事を載せておこう。

(追記:同日21時30分)

ビスフェノールAをもう少し調べようと思ってググっていると、日経エコノミーの連載コラム「4次元エコウォッチング(安井至)」を見つけた。

プラスチック原料・ビスフェノールAは禁止すべきか(08/10/01)

公開日を見ると10月1日だよ。じゃあ最新の内容が書かれていると思い、少々期待して読んだけど、はっきり言ってガッカリの内容だった。

諸外国と日本の現状や法規制を知る上で勉強にはなったけど、最も力を入れて説明しているビスフェノールAの健康影響に関する話が、現状で問題になっているラットやマウスの研究報告の話ばかり。このコラムの著者、安井先生は、凄い肩書きを持っているけど、9月に発表されたエール大学の報告に全く触れていない。記事を書くうえで手抜きをしているとしか思えないと思うのは私だけだろうか。日経エコノミーでは、意見も出せるのでメールをしてみよう。

この記事で紹介されている詳細リスク評価書は興味深いのでチェックです。

詳細リスク評価書シリーズ6 ビスフェノールA

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