"無症候性"心筋梗塞は認知症のリスクを高める
今日のニュースは少しダイエットの話題から外れるけど、動脈硬化性の疾患は肥満から生じると信じているので、肥満を放っておくと、こういうリスクを心配しなきゃいけないよ、ということで紹介しよう。
Reutersの5月28日のニュースに「"Silent" heart attack boosts dementia risk」ってのがあったよ。日本語にすると「"無症候性"心筋梗塞は認知症のリスクを高める。」
症状が無いか無症候性の心筋梗塞を起こした男性は、認知症もしくは認知機能に影響を与える小さな脳血管障害のリスクを高める報告をオランダの研究者グループがした。
女性ではなく、無症候性の心筋梗塞を起こした男性は、有症の心筋梗塞や心筋梗塞を全く起こしてない男性よりも脳梗塞が多いという報告をMonique M. B. Breteler医師は以前にしている。
このことが認知症と、いわゆる脳内微小血管障害(Cerebral Small Vessel Disease)の原因になっているかどうか調べるため、ロッテルダム、エラスームス大学のBreteler医師と彼女のグループは、住民を対象として6,300人以上のデータを調査解析をした。
研究の開始時、1990年から1993年まで、心電図によって被験者を、有症の心筋梗塞、心筋梗塞無し、無症候性の心筋梗塞の3つに分類した。そして認知症が起こるまで追跡して、2005年までに認知症は613名になった。
認知症にならなかった436名もMRIによる脳の検査をしている。
心筋梗塞を起こしたことが無い男性に比べると、無症候性の心筋梗塞を起こした男性は、認知症に進行する率が2倍近く高い。彼らは、MRIの検査でも脳血管の閉塞を示す病巣を多く持っていた。このチームはAmerican Heart Association's journal Strokeでこのことを報告している。
女性では、認知症のリスクと無症候性の心筋梗塞との関連性は認められなかった、有症性の心筋梗塞を起こした男女とも関連性は認められなかった。
無症候性の心筋梗塞を起こしているかどうか心電図を使ってスクリーニングをすれば、「色々と悪い結果が起こるリスクを持った人を見つけることができるかもしれない。」彼らに予防処置を取れれば有用かもしれない。
「しかし、」Breteler医師は強調する。「このようなスクリーニングを始める前に、まず、最初に有効性と費用対効果を、十分に考えられたランダム化比較試験で検証すべきだ。」
確かに検証すべき事ではあるけど、心電図で無症候性の心筋梗塞が認められる男性を見つけたら、しっかりと脳血管のフォローをすべきだろう。男女に差がある理由も分からないし、まだ、日本人で同様な結果になるかどうかも分かっていないから、日本人を対象にした同様の研究も必要だろう。
それでも既に無症候性心筋梗塞を有している男性で心配しているのであれば相談は受けますよ。当院はMRIを持ってないんですが、近くの西高松脳外科内科の院長、政田哲也先生は私の大学時代の親友なので気軽にMRIの検査をしてもらえます。直接行ってもいいし私の所に来られても予約が取れます。
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