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2008年1月10日 (木)

マジンドール

-----平成21年10月10日加筆
現在当院における保険適応サノレックス使用数は2名で、すべてBMI値35以上の高度肥満症例である。保険適応外の場合は、当院の患者さんに限り1錠210円で処方している。

-----平成20年5月20日加筆
現在当院における保険適応サノレックス使用数は3名で、すべてBMI値35以上の高度肥満症例である。また保険適応外の使用数は1名で、保険適応外の場合は、当院の患者さんに限り1錠210円で処方している。

-----平成20年1月10日オリジナル
今朝、何気に見た朝のワイドショーでカリスマダイエット医師、風本真吾容疑者が逮捕される報道が流れていた。

肥満治療薬、マジンドールの不正販売疑惑。さてどんな薬だったか、?マークが頭に浮かぶ。後でサノレックスという言葉が出てピーンときた。

医薬品には2つの顔というか名前がある。理由はあるがよく知らない。でも学生の頃から不便だと思っていた。学生の頃は薬剤の一般名を覚えて勉強して、製薬会社が販売する商品名を全く知らないまま医者になるが、初心の志として、使用する薬剤の一般名は覚えておこうと誓い仕事を始めた。

しかし、気がついてみれば製薬会社の商品名ばかり覚えている。マジンドールは一般名であり、現在、ノバルティスファーマという製薬会社がサノレックスという商品名で販売している。販売していると言っても一般にでは無く私のような医薬業界にである。

実は私も以前からサノレックスの使用を考えていたため商品名は知っていたし、製薬会社からの説明も受けていた。しかし、マジンドールという一般名をチェックしていなかった。情けないことで、新薬と思ってしまった。やはり初心忘るべからずで一般名を覚えるようにしよう。

一般名を知らなくてもサノレックス、マジンドールに関しての知識はある。この薬はやせ薬と言われているが、正確に言うと食欲抑制剤であり、飲めば脳の摂食中枢を抑制して食欲が無くなる。結果として痩せていくというもの。

摂食中枢に働くから向精神薬に分類されるし、習慣性も出てくる。これは現在使用されている睡眠導入剤や安定剤などと同様であろう。

ストレスから過食気味になり肥満を引き起こす人には効果があると思われる。当院でもダイエット(食事療法)外来をしているので、使用を考えていたが、保険使用のハードルが高く今まで使用したことはない。

まず、適用患者は高度肥満でなければならない。高度肥満とはBMI(Body Mass Index)値=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が35以上である。例えば、身長165cmなら95kg以上、170cmなら101kg以上、175cmなら107kg以上である。日本人でこのような体格の人は少ない。私の所でも高度肥満の患者さんは少なく、保険適用ができないので使用していなかった。

保険適応は法律上決められたごと、EBM(「医師がすすめるウオーキング」のエントリーで説明済み)を重視するガイドラインとずれる場合がある。欧米では薬剤の添付文書とガイドラインのずれから使用が不適切で訴えられたケースがあるぐらいなので、保険適応が絶対というわけでも無さそうだが、よっぽどの信念が無い限り法律に背く処方はできない。この適応に入らない場合は保険外処方ということになろう。

保険外処方をする場合、その理由を明確に持ってしかるべきでしょう。私もマジンドールの適用基準になっているBMI値が35以上という条件に疑問を持っている。

私の話を聞いた人なら知っているかもしれませんが、日本人の場合はBMI値で肥満を診断してはならないということ。WHO(世界保険機構)が2005年9月に発表したBMI値から判断した肥満注意国として日本が入らなかったにも関わらず、糖尿病罹患率の急騰、BMI値と腹囲の相関関係から、適正体重でも内臓脂肪過多の人口増加、日本人は少し太ると病気が発症してしまうというデータが増えている現在、BMI値35というのは意味がないように思われる。

私が高度肥満とする定義は、体重増加の程度に係わらず、体重増加により二次的健康被害を被る状態だと思う。となれば、2型糖尿病に代表される体重増加によって引き起こされる病態は高度肥満になり、サノレックスの処方をしてもいいと思う。

しかし、どんな理由にしろ、安易にマジンドールの処方をしていると、今日の風本容疑者の引き起こすかもしれない。チラッと見た報道から彼の善し悪しを判断することができないので、あまり推測を話すべきではないが、ちょっと感じたことを述べると。

「私はダイエット専門医だ。」という発言と、「私は病人に処方をしていない。」というような発言があった。前者の発言の意味をくみ取ると、自分が専門医だからマジントールの使用法をわきまえて適正に使用できる能力がある、ということを言いたいのだろう。後者は、処方をしているのが高度肥満症のような病人じゃないから保険外処方をしていて問題ない、と言いたいのだろう。そう、この発言に違法性は無い。悪までも違法性を問われているのは、無資格の従業員に処方させた疑い、不正販売。

しかし、考えてみてください。例え違法性が無くても、一錠200円そこそこの錠剤を、600円から1000円で販売する貪欲さと薬の持つ習慣性を利用してリピーターをつける狡賢さ。ビジネスマンとしてすばらしい才覚があったのだろう。専門医と言いながら病人を診ないという、一見矛盾した発言、ダイエットの専門医なら普通は食事療法、運動療法の重要性を説き、指導の補助的手段としてマジンドールを使用するだろう。ならば、安価に提供するのが筋じゃないかと思う。テレビに映る中年太りした風本容疑者を見たら、自分のダイエットはどうなんだという疑問が生じる。

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