いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)
岡田斗司夫氏って誰?何者なのか知らなかったけど、本屋に並べられていた本の帯に写る強大なパンツに身を入れた細身なおじさんの絵柄にはインパクトがあった。「1年で50キロの減量に成功!」のふれ込みも人を惹きつける。そう、私も本書を手にしていた。
レコーディング・ダイエット、食事記録を詳細につけることで自分の食生活の行動パターンを認識し、改善させるという伝統的なダイエット法の説明であるが、なぜ、この本が売れているのだろう?
理由は岡田氏という人物にある。この方、実はオタク評論家であり社会評論をする物書きで有名らしい。そのため、本の前半では「見た目主義社会」とい持論を展開して、デブだと今の社会でどれだけ損をするか説明している。これは他のダイエット本ではお目にかかれないユニークな話の展開で興味深い。また「コンビニ食が生活の一部以上になっている人向けのダイエット法」と書かれているようにブログやmixiなどのユーザー層である若者が実践しやすいというところが売れる理由なのだろう。
私の持論は、「痩せる」というより「健康」でなければならない社会という岡田氏の考えより少し先にある。しかし、彼もいずれ悟るんじゃないかな。というのもダイエットというのは、知識レベルの階段を登ることで成し遂げられるからである。
まず、痩せたいと思わなければダイエットにならない。しかし、痩せたいと思うだけでは痩せないし、病気の予防にもならない。痩せたいと思うようになれば、まず楽なダイエットに取り組み失敗する。更に他のダイエットにも取り組み失敗する。そして、徐々に色々なダイエット法の知識を得ると、その根底にある共通部分が見えてくる。知識が身につくと自然に自分のダイエット法が確立され痩せる。痩せてくれば、次は健康を考えるようになり次の健康への階段を登っていく。
岡田氏は健康の階段に足をかける段階でこの本を書いている。それは本書に書かれた説明を読めば分かる。「ダイエットは誰にでもできる。どんなダイエットでもやせる。ただ続けることがむずかしいだけ。でも、その難関もレコーディング・ダイエットなら克服できる。そう確信できたから、この本を書きはじめた。」
この階段を登るスピードに個人差がある。多くの人がダイエットの挫折を経験しているけれど、それは挫折じゃない。まだ階段の途中で足踏みをしているだけ。正しい知識を得れば誰でもダイエットを成功に導ける。系統だった知識を得るとダイエットは難しくない。ただ闇雲に人に言われることを実行しているだけでは習得に時間がかかるのだ。
「痩せたい」という意思を強めなければ減量への道を進めない。本書の前半では「見た目主義社会」、後半では経済的なゆとりを説明して、痩せることのすばらしさを説いているけど、かなりのページ数を使っている。これもすべてモチベーションを高めるためである。「痩せたい」と強く思わせることが行動変容を促すために最も重要だからだ。
彼のダイエットに新しい内容は含まれていない。食事記録法と、「欲求」と「欲望」という言葉で説明している「Emotional Appetite(情動的食欲)」のコントロールを二本柱にしたダイエット法だ。実際、ダイエットを続けていくには情報量が少なすぎる。あまりダイエットには興味がなかったけど気になっているぐらいの人なら本書を手に取って読んでみたらいい。
誰でも実践可能と書かれているが、万人に当てはまるやり方というのは存在しない。しかし、このダイエットで失敗しても他のダイエットを試みるといいだろう。試行錯誤をくりかえすかもしれない。でも、目的意識をしっかり持っていれば彼の言うようにダイエットは苦しくない。ダイエットを成功させるための秘訣は知識である。知識を貪欲に得たいと思うようになれば、あなたのダイエットも成功したもの。私のダイエット法は、「Informative Diet(インフォーマティブ・ダイエット)」、知識を豊富にするダイエット法と言ったらいいかも。
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